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COLUMN|コラム

【飲食店】開業時の融資に成功する創業計画書の書き方とポイント
2019年05月04日

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融資に成功する創業計画書を書く

「今のサラリーマン生活を続けるくらいなら、いつか自分で飲食店を開業して一国一城の主になりたい!」と思われる方も多いと思います。
自分のお店を持つということは、店舗を借りることでもあり、内装や厨房機器を揃えることであり、またサービスを提供するための人を雇うというこでもあります。
そのため、飲食店開業には一般のサラリーマンが数年働いただけでは貯めることができないような大きな開業資金が必要となり、金融機関からの資金調達が必要となるケースが多くなります。

飲食店開業時の資金調達として最も利用されているのが日本政策金融公庫です。
日本政策金融公庫から創業融資を受けるためには『創業計画書』を作成する必要があります。
このコラムでは開業資金の融資に成功する創業計画書(事業計画書)の書き方とそのポイントについて説明します。

日本政策金融公庫は『創業計画書』の記入例(以下、『記入例』といいます)を公表しており、飲食店の場合は洋風居酒屋が例になっています。
また、『新に飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引+』(以下、『手引』といいます)というものも公表しています。
これら以外にも飲食店が資金調達する際に気を付けておきたい点も加筆して、これさえ見れば誰でも開業資金の融資に成功する『創業計画書』を書くことができるようになっています。

ちなみに、『創業計画書』は「事業計画書」の一種なのですが、創業時に作成する「事業計画書」を特別に『創業計画書』と呼んでいます。

創業計画書をダウンロードする

まず日本政策金融公庫のホームページにアクセスします。
ページ下部の「各種書式ダウンロード」をクリックすると『創業計画書』がダウンロードできるページに飛ぶのでダウンロードします。
エクセル形式とPDF形式の2種類用意されているので、どちらか利用しやすい方で大丈夫です。

同じページに洋風居酒屋の記入例があるので参考にダウンロードしておくとよいでしょう。

また、自分でしっかりと理解した上で事業計画書を作成したい方は、そのページの下の方に「創業の手引+(飲食版)」があるのでダウンロードしておきましょう。

1.創業の動機

『記入例』

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『手引』

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『手引』のチェックポイント

『手引』ではチェックポイントとして次の5つを挙げています。

□ 創業は思いつきではなく、以前から考えていたことですか?
□ 創業することによって実現したいことは明確になっていますか?
□ 経営者になるためのスキルは十分身についていますか?
□ 創業することに対して家族や周囲の理解はありますか?
□ 創業の準備が整っていないのに、良い物件が見つかったという理由だけで物件の契約をしていませんか?

記載のポイント

まず何よりも強調しておきたいのが、一番最初の記載項目である=重要な項目ということです。
どういう目的で何をやりたいかを明確に記載する必要があります。

ここでは「熱意!」が重要ポイントになります。
事業を始めるというのは大変なことです。熱意がなければ利益を上げることができませんし事業の継続も困難になります。
最初の文章で融資担当者に「やる気のないこの人にお金を貸しても大丈夫だろうか・・」と思われないように注意して書きましょう。

『手引』では、「常連のお客様から独立をすすめられた」という創業の動機は、「主体性がなく、創業動機が弱い」と書かれています。
主体性・熱意をもった明確で具体的な創業動機を記載する必要があります。

『記入例』では比較的簡単に書いていますが、『手引』ではもっと具体的に書いているのでこちらを参考にする方がよいでしょう。
この創業の動機は4行しかありませんので、少なくとも『手引』にあるくらいにまでしっかりと書きましょう。
もっといっぱい書きたいという方は「別紙参照」というようにして別紙に厚く(熱く)記載すると融資担当者に持ってもらえるイメージはさらによくなるはずです。

2.経営者の略歴等

『記入例』

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『手引』

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『手引』のチェックポイント

『手引』ではチェックポイントとして次の4つを挙げています。

□ 過去に事業を経営し、既にその事業をやめている場合、廃業理由を説明できますか?
□ 勤務経験は十分ですか?
□ 勤務時代に任されていたこと(担当業務、役職等)や実績をきちんと答えられますか?
□ 短い年数で勤務先を何回か変えている場合、その理由を説明できますか?

経営者の略歴の記載のポイント

社会人になってから現在までの経歴を時系列で記載します。
(履歴書ではないので卒業小学校・卒業中学校などの記載は特に不要です)

ここでは「開業まで計画・準備」が重要ポイントになります。
創業の動機では「熱意!」が重要ポイントになると書きましたが、少しうがった見方をすると熱意はどうにでも書くことができます。
しかし過去の経歴はウソはつきません。
いくら飲食店の独立開業に熱い思いがあったとしても、飲食業に関する知識や経験がほとんどなければ成功する確率は低くなりますし、その熱い思いは一過性であるおそれもあります。
金融機関の融資担当者は、過去の経歴を見ることにより経営者の本当の熱意や事業を継続する覚悟(経営者としての本質)を見るのです。

『手引』では、「勤務先、勤続年数のみの記載」では十分ではなく、「勤務時の役職、待遇、実績等を具体的に記載」することを勧めています。
こちらも『記入例』では比較的簡単に書いていますが、『手引』ではもっと具体的に書いているのでこちらの方を参考にする方がよいでしょう。

脱サラで独立開業する方であれば、飲食店の勤務経験がほとんどない場合もあるので一概に何年以上の勤務経験が必要であるというわけではありませんが、飲食店経験者に負けない別の強みを書けるようでなければなりません。

参考:コラム「開業届の書き方パーフェクトガイド」
参考:コラム「青色申告承認申請書の書き方パーフェクトガイド」

「過去の事業経験」の記載のポイント

「過去の事業経験」欄には、過去・現在の事業経営の経験の有無にチェックを入れます。
過去に事業に失敗していた経験がある方はそれを書きたくないと思われるかもしれませんが正直に書きましょう。
日本政策金融公庫は全国銀行個人信用情報センター(KSC)という信用情報機関に加盟しており、他の金融機関と同様に信用情報を持っています。
これらの情報と合わないような記載をしていれば信用関係は大きく損なわれてしまいます。

「取得資格」

「取得資格」欄には、調理師やソムリエなど資格の有無及び取得年月を記載します。

「知的財産権等」

「知的財産権等」欄には、何か知的財産(特許権や商標権など)を持っていれば記載しますが、通常は「特になし」にチェックを入れるだけで問題ありません。
税理士法人MFMコラム「商標登録と商標権の侵害」

3.取扱商品・サービス

『記入例』

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『手引』

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『手引』のチェックポイント

『手引』ではチェックポイントとして次の5つを挙げています。

□ 商品・サービスのセールスポイントは何ですか?
□ 接客面のセールスポイントは何ですか?
□ それ以外のセールスポイントはありますか?
□ 他店ではなく、あなたのお店を選んでもらえる理由を説明できますか?
□ お店のコンセプトに合った商品・サービスを提供できますか?

「取扱商品・サービスの内容」の記載のポイント

昼と夜とで営業をするお店であれば、計画している昼と夜の客単価と売上シェアを記載します。
また、夜にアルコールが出るお店であればドリンクの占める割合も大きくなるので、料理とドリンク別に単価も記載します。

フードやドリンクのメニューがあればイメージが湧きやすいので資料として添付しましょう。
まだ完成していない場合であっても作成途中のもので大丈夫です。

「セールスポイント」の記載のポイント

お店の商品・サービスの長所を書きます。
『手引』では、「アットホームな雰囲気の店」といった漠然な記載では十分ではなく、具体的にお店のイメージが湧くように記載する方がよいとあります。
融資担当者が、イメージが湧かないお店への融資に積極的になれないのは容易に想像できますね。

「販売ターゲット・販売戦略」の記載のポイント

狙っているメインターゲットを記載します。
「オールマイティーな店=特徴がない店=集客できない店」です。
結果として色々なお客さんに来てもらえるのはよいのですが、しっかりとターゲットを定めましょう。

「競合・市場など企業を取り巻く状況」の記載のポイント

立地、競合店の有無、競争が激しい場合は差別化の方法などを記載します。
立地は飲食店開業の成否を大きく左右するので、融資担当者は間違いなく立地を見てきます。
そのため『記入例』に「立地選定理由についても触れてください。」とあります。
また程度の違いはあるもののどの場所で開業しても競合店があるので、その競争の中でどのように差別化を図り生き残っていくかを明確に記載するとともに分かりやすく説明できるようにしておかなければなりません。

RESTOでは開業予定地周辺の商圏分析も人数限定となりますが無料で行っています。
参考:コラム「飲食店の商圏分析」

4.取引先・取引関係等

『記入例』

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『手引』

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『手引』のチェックポイント

『手引』ではチェックポイントとして次の5つを挙げています。

□ 顧客ターゲット層を明確にしていますか?
□ 出店予定地近くの住民の特性やライフスタイルを把握していますか?
□ 出店予定地は新規客(顧客ターゲット層)を獲得しやすい場所にありますか?
□ 予定仕入先は信頼できる業者ですか?
□ 必要な従業員は確保できますか?

「販売先」の記載のポイント

「取引先名」には、『記入例』では「一般個人」と記載されていますが、『手引』では「一般個人」ではイメージが湧きにくいと書かれてしまっており「一般個人(〇〇駅周辺の会社員、学生)」と書く方がよいとされています。
「3.取扱商品・サービス」の「販売ターゲット・販売戦略」欄と記載内容が重複しますが、念のために再度ターゲットを記載する方がベターでしょう。

「シェア」は100%で問題ないでしょう。

「掛取引の割合」は、ほとんどが現金売上であれば空欄で問題ありません。

「回収・支払の条件」は、ほとんどが現金取引であれば「即金」と書きましょう。

「仕入先」

『手引』では「仕入先との関係も記載するとさらにベター」とあります。
仕入れが難しい商品や安くで仕入れられる仕入ルートを持っていれば、ここに書いおくと融資にプラスになるでしょう。

「外注先」

あまり記載することはないかもしれしませんが、外注先があれば記載します。

「人件費の支払」

給与・賞与の締日・支払日を記載します。

5.従業員

『記入例』

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「従業員」の記載のポイント

「常勤役員の人数」は、法人の場合は記載しますが、個人事業主の場合は記載不要です。

「従業員数」は、文字通り従業員なので経営者は数に含めません。
『記入例』では従業員数が5人になっており、その右にうち家族従業員1人とうちパート従業員3人となっており人数が合わないように最初は見えてしまいますが、「8事業の見通し」の「③人件費」の記載を見るとその理由が分かります。
従業員5人=正社員1人+家族従業員1人+パート従業員3人なのです。

6.お借入の状況

『記入例』

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「お借入の状況」の記載のポイント

経営者個人の借入状況について記載します。
「2.経営者の略歴等」でも触れましたが、公庫は全国銀行個人信用情報センター(KSC)という信用情報機関に加盟しており、他社借入件数などの情報も調べることができます。
これらの情報と合わないような記載をしていれば信用関係は大きく損なわれてしまいますので、正直に記載しましょう。

7.必要な資金と調達方法

『記入例』

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『手引』

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『手引』のチェックポイント

『手引』では必要な資金のチェックポイントとして次の6つを挙げています。

□ 出店予定地の家賃・保証金は、周辺相場と比べて高くないですか?
□ 飲食店の内外装工事の実績がある工事業者を知っていますか?
□ 2社以上から見積書を取って、工事価格の妥当性や相場観をつかんでいますか?
□ 出店場所や内外装等のグレードは調達できる金額(自己資金や借入金等)を算段した上で決めていますか?
□ 創業時の広告宣伝費や人材募集費等の運転資金、事業開業後の運転資金(半年程度の赤字補てん資金等)の準備は大丈夫ですか?
□ 居抜き物件の場合、譲渡してもらう造作・設備の価格の内訳や価格の妥当性を確認していますか?

調達の方法のチェックポイントとして次の5つを挙げています。

□ 自己資金はコツコツと貯めていますか?
□ 自己資金の蓄積過程は通帳などで確認できますか?
□ 創業資金を借入する場合、どこに相談に行けばよいか知っていますか?
□ 借入するための条件や借入金額の相場観を知っていますか?
□ 自己資金が少なく借入依存の計画になっていませんか?

「必要な資金」の記載のポイント

この表は貸借対照表のようになっており、簿記を学習したことのある方であれば記載方法はすぐにイメージできると思うのですが、そうでない方には分かりにくいかもしれません。

「設備資金」の「必要な資金」の欄に記載する必要のある大きな項目としては、『記入例』のとおりで大丈夫です。
・ 店舗内外装工事
・ 厨房機器
・ 什器・備品類
・ 保証金
ただし、複数業者から厨房機器を購入するような場合は業者ごとに「見積先」と「金額」は分けて書く必要があります。
このような形の表になっており、また『記入例』にも「見積書などを添付してください。」とあるため、見積書が必要になります。

「運転資金」欄に記載する必要のある大きな項目についても、『記入例』のとおりで大丈夫です。
・ 仕入
・ 広告費等諸経費支払
細かく書こうと思えば、給料・賞与・法定福利費・福利厚生費・通勤費・家賃・支払リース料・水道光熱費・火災保険料・通信費・支払手数料・支払利息・・・と書くことができますが細かく分ける意味はあまりないと思います。
概ね妥当な金額であれば問題ありません。

「調達の方法」の記載のポイント

開業資金の「調達の方法」「金額」を記載します。
『記入例』では日本政策金融公庫からの借入の欄に「(年〇.〇%)」と記載がありますが、この利率は分からないので最初は書いていなくても問題ありません。

『記入例』では必要な開業資金1,200万円のうち自己資金が300万円となっており25%が自己資金になっています。
独立開業に必要な資金のうち2~3割は自己資金というのを日本政策金融公庫は想定しています。
また、『手引』には「創業に向けてコツコツ貯めていいることが、創業準備の表れとなります。」との記載があります。
この自己資金がどれだけあるかで、創業準備をどれだけしてきたかを見るのです。
公庫の新創業融資制度においては、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要とされており、自己資金の比率が多いほど、創業融資の審査上は有利になります。

最後の合計金額は『記入例』のように左側の金額の合計と右側の金額の合計は一致させましょう。

8.事業の見通し(月平均)

『記入例』

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『手引』

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『手引』のチェックポイント

『手引』では事業の見通しのチェックポイントとして次の5つを挙げています。

□ 予想売上高の根拠を示すことはできますか?
□ 予想売上高は過大になっていませんか?
□ 予想経費は過少になっていませんか?
□ 無理なく借入の返済ができる計画ですか?
□ 利益が少ない場合、補てんできる財源(預金、家族収入等)はありますか?

「事業の見通し」の記載のポイント

「創業当初」の「売上高」の根拠は右側にしっかりと記載する必要があります。
『記入例』のように、昼・夜・曜日に分けて、客単価×席数×回転×営業日数で売上を計算しましょう。
「原価率」は、『手引』に業種別の原価率の目安を記載してくれていますので参考にするとよいでしょう。
「人件費」は、上記「5.従業員」の記載と整合性が取れているか確認しましょう。
そして最後の数字の「利益」はプラスにしておく方がよいでしょう。
創業当初とはいえ赤字の事業計画を最初から提出されると、融資担当者としては「・・・」となってしまいます。
融資担当者が融資を通しやすいような事業計画を作ることが重要なポイントになります。

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創業計画書(事業計画書)のポイントと記載例を記載しましたが、もしご自身で公庫に創業融資の申込みを正式に申請してから融資が下りないとなってしまうと、その履歴が公庫に残ってしまいます。
そうすると、今後融資を受けたいときや、一旦創業が白紙になってしまい創業に再度チャレンジするときに、その履歴があるのでまた融資が下りないというおそれもあります。
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